アニメが「制作決定」と発表されてから、実際に放送されるまでには多くの工程があります。
企画や資金集め、シナリオ作成、作画、アフレコ、宣伝など、想像以上に長い時間と多くの人の手が必要です。
本記事では、アニメ制作決定から放送までの流れと一般的なスケジュールをわかりやすく解説します。
目次
アニメ制作決定から放送までの平均期間
アニメ制作は、制作決定から放送まで約1年〜2年が一般的です。
作品の規模や制作体制によって変わりますが、
- 大規模な人気作品:2年以上
- 1クール(12〜13話)程度の作品:1年〜1年半
が目安です。
近年は制作本数の増加と人材不足でスケジュールが厳しくなりがちです。
アニメ制作決定から放送までの大まかな流れ
アニメが発表されてから放送されるまでには、以下のような工程があります。
- 企画立案・制作委員会の結成
- シナリオ・シリーズ構成の制作
- キャラクターデザインと美術設定
- 絵コンテ・レイアウト制作
- 原画・動画の作成
- 彩色・撮影・編集
- 声優キャスティングとアフレコ
- 音楽制作と効果音の追加
- 宣伝・PV制作・放送枠の確定
- 完成・放送開始
それぞれの工程を詳しく見ていきましょう。
企画立案と制作委員会の結成
- 企画立案
原作漫画や小説の人気をもとにアニメ化を検討します。オリジナル作品の場合は監督や脚本家が企画を提出します。 - 制作委員会方式
アニメ制作は複数の企業が出資する「制作委員会」で進行します。出版社、アニメ制作会社、放送局、広告代理店、音楽会社などが参加し、資金を集めます。 - 放送枠の調整
放送局や配信プラットフォームと放映スケジュールを決定します。
この段階で発表される「制作決定!」は、まだシナリオやキャラクターデザインが固まっていない場合もあります。
シナリオとシリーズ構成の制作
- シリーズ構成
全話を通した物語の流れを決めます。どの話をどの順番で描くかを脚本家が構築します。 - 各話脚本
各話の台本を作成します。セリフや場面転換、演出の指示が細かく書かれます。 - 監督・プロデューサーによるチェック
物語の方向性を確認し、演出の意図や世界観を固めます。
キャラクターデザインと美術設定
- キャラクターデザイン
原作絵をアニメ用にアレンジします。動かしやすさを重視してデフォルメや簡略化を行う場合があります。 - 美術設定
背景や小物、街並みなどを設定画として制作します。世界観のリアリティを支える重要な工程です。 - 色彩設計
作品全体の色の雰囲気を決定し、キャラクターや背景のカラーパレットを定めます。
絵コンテ・レイアウト制作
- 絵コンテ
アニメの設計図ともいえる工程。カメラワークやキャラクターの動きをコマ割りで表現します。 - レイアウト
各カットの構図や背景とのバランスを決める作業。原画マンが担当します。
絵コンテ完成までに時間がかかると、後の工程に遅れが出やすくなります。
原画・動画の作成
- 原画
重要な動きのキーとなる絵を描きます。キャラクターの感情や動きを決める重要な作業です。 - 動画
原画と原画の間を補う絵を描き、滑らかな動きを作ります。新人アニメーターが担当することも多いです。 - 作画監督のチェック
統一感を保つため、キャラクターデザインと崩れがないかを監督が修正します。
彩色・撮影・編集
- 彩色
完成した線画にデジタルで色をつけます。キャラクターや背景の塗り分けを丁寧に行います。 - 撮影
各カットをデジタル合成し、エフェクトや光の演出を加えます。 - 編集
映像の長さやテンポを調整し、完成版の映像を仕上げます。
声優キャスティングとアフレコ
- キャスティング
監督や音響監督がオーディションを行い、声優を決定します。 - アフレコ
完成した映像に合わせて声優がセリフを収録します。未完成映像の状態で録音することもあります。 - 音響効果・BGM制作
効果音や音楽を追加し、映像に臨場感を与えます。
宣伝・PV制作・放送枠の確定
- PVやキービジュアルの制作
アニメの雰囲気を伝える宣伝映像を制作します。 - SNSやイベントでの告知
ファン向けにティザー情報や制作進捗を発表します。 - 放送枠の最終決定
深夜アニメ、配信独占、映画館先行上映など形態を確定します。
アニメ制作決定から放送までにかかる時間のまとめ
- 企画・資金集め:約3〜6か月
- 脚本・設定・デザイン:約3〜6か月
- 作画・彩色・撮影:約6〜12か月
- アフレコ・音響・編集:約1〜3か月
- 宣伝・放送準備:約1〜2か月
合計すると1年〜2年が一般的ですが、作品規模によって前後します。
まとめ:アニメ制作は長期計画と多くの人の力で完成する
アニメは制作決定から放送まで、1年以上の時間と多くの工程を経て作られます。
企画から資金調達、脚本、美術、作画、アフレコ、宣伝まで多くの専門職が関わっています。
制作の裏側を知ると、放送が始まるまでの期待感がより高まるでしょう。



