アニメ業界でよく聞く「グロス請け」という言葉。
制作会社やアニメーター志望者にとって重要な用語ですが、具体的な意味を知らない人も多いでしょう。
この記事では、アニメのグロス請けの仕組み、元請けとの違い、働き方の特徴を詳しく解説します。
アニメのグロス請けとは何か
グロス請けの定義
グロス請けとは、アニメの1話分や特定パートの制作を丸ごと外部の制作会社に委託することです。
発注する側(元請け)が、動画・仕上げ・背景・撮影などの一部または全工程を別会社に任せます。
元請けとグロス請けの関係
- 元請け:作品全体の企画・監督・制作進行を担当
- グロス請け:元請けの依頼を受け、1話分を制作する外部スタジオ
グロス請け会社は元請けから発注を受け、決まった納期・予算内で1話を仕上げます。
アニメのグロス請けが増えている理由
制作スケジュールの逼迫
アニメの放送本数増加により、元請けだけでは全話を内製できなくなっています。
制作進行の遅れを防ぐため、グロス請けを活用するケースが増えました。
コスト管理のしやすさ
1話単位で外注することで予算をコントロールしやすくなります。
固定スタッフを増やさず制作を進められるため、コスト削減につながります。
スタジオの専門性を活かせる
特定のジャンルや技術に強いスタジオにグロス請けを依頼することで、クオリティを維持できます。
アニメ制作におけるグロス請けの仕事内容
原画・動画の制作
キャラクターの動きを描く重要な工程を担当します。
元請けが絵コンテや設定を提供し、グロス請けが実際の作画を行うケースが多いです。
背景美術や彩色(仕上げ)
背景や色指定を含む仕上げ工程を一括して請け負うこともあります。
撮影・編集まで担当する場合も
スタジオによってはコンポジット(撮影)や最終映像まで一貫して制作します。
グロス請けの範囲は作品ごとに異なり、1話丸ごと全工程を担当する場合もあれば、作画だけを担当する場合もあります。
グロス請けと下請けの違い
- グロス請け:1話単位でほぼ全工程を丸ごと担当
- 下請け(部分請け):動画や仕上げなど一部の工程だけを担当
グロス請けは元請けに近い立ち位置で制作を進めるため、責任範囲が広いのが特徴です。
アニメのグロス請けで働くメリットとデメリット
メリット
- 大きな裁量を持って1話を制作できる
- 実績を積むことで元請けとの信頼関係を築ける
- スタジオとして独自の作風を打ち出せる場合がある
デメリット
- 納期と予算のプレッシャーが大きい
- 元請けからの指示が不十分な場合、トラブルが起こりやすい
- スタッフが少ないと負荷が集中しやすい
アニメ業界でグロス請けを目指す人への勉強法
基礎画力を磨く
デッサン・パース・キャラクター作画を徹底的に練習します。
特にアニメーター志望者は原画やレイアウトの技術が必須です。
制作フローの理解
絵コンテから仕上げまでの流れを理解すると、1話単位の進行管理がしやすくなります。
コミュニティや業界セミナーに参加する
スタジオの採用情報や実際の制作環境を知ることができます。
グロス請けスタジオの例
- スタジオ雲雀:多くの有名アニメでグロス請け実績あり
- サテライト:CGを強みに複数作品を担当
- ENGI:制作ライン全体を請け負うケースが多い
有名スタジオは元請けとの信頼関係を築き、継続的に発注を受けています。
まとめ:アニメのグロス請けは制作現場を支える重要な形態
グロス請けは1話単位で制作を引き受ける外注方式です。
元請けの負担を軽減しつつ、スタジオの力を発揮できる重要な存在といえます。
アニメ業界を目指す人は、グロス請けの役割を理解すると就職やキャリア形成に役立ちます。



