MENU

【アニメ塗り・厚塗り】違いは何?立体感・質感を極めるアニメーションの「厚塗り」技法を徹底解説

近年、劇場作品やハイクオリティなウェブアニメで目にする、まるで油絵のような重厚感リアルな質感を持つ「厚塗り」の表現。

「厚塗り」が具体的にどのような技法で、一般的な「アニメ塗り」とどう違うのかという本質的な違いを知りたいと思っているのではないでしょうか?

本記事では、アニメ制作における「厚塗り」の技術を、定義から具体的な表現効果、さらには描き方の基礎まで、具体的かつ網羅的に解説します。

この記事を読めば、あなたが普段見ているアニメ作品の表現の深さを理解でき、イラスト制作のヒントも得られるはずです。

目次

アニメ塗りとはシンプルでメリハリのある塗り方

アニメ塗りとは、セル画やアニメーションに使われるようなはっきりした塗り方です。

影の境界をくっきりさせ、色を大きく分けて塗るのが特徴です。

  • 輪郭線が明確
  • 影やハイライトが少なめ
  • 色の境界がはっきりしている

アニメ塗りはキャラクターを見やすくし、短時間で仕上げられるメリットがあります。

「厚塗り」とは?アニメ塗りとの本質的な違い

アニメの「塗り」は、大きく「アニメ塗り(セルルック)」と「厚塗り」の2種類に分けられます。この違いを理解することが、表現の深さを知る第一歩です。

① アニメ塗り(セルルック)の定義

項目特徴用途
定義影を一段階、または二段階の単色で表現する、平面的でシンプルな塗り方。影の境界線がはっきりしている。TVアニメの基本。 制作コストが抑えられ、キャラクターデザインが際立つ。
効果明快、ポップ、線画の美しさを際立たせる。

② 厚塗り(マットペイント)の定義

項目特徴用途
定義色を何層も重ねる(グラデーションやブラシテクスチャ)ことで、複雑な立体感物質的な質感を表現する塗り方。影と光の境界が曖昧。劇場アニメ、ハイエンドなPV、背景美術など、リアリティと重厚感が求められる作品。
効果重厚、リアル、空気感、筆致や油絵のようなアナログ的な表現。

<最も重要な違い>

「アニメ塗り」が「線画」を主役とし、色を脇役とするのに対し、「厚塗り」は「色と質感」を主役とし、線画を色のレイヤーで隠す、あるいは馴染ませて消していく手法と言えます。

アニメで「厚塗り」が求められる具体的な表現効果

厚塗りは、一般的なアニメ塗りでは表現が難しい、以下のような**「質感」「空気感」**を表現するために用いられます。

1. リアルで複雑な立体感と質量

光と影のグラデーションを細かく表現できるため、キャラクターや物体に重み丸みといった質量感が生まれます。特にメカや鎧など、硬い物質の表現で効果を発揮します。

2. 独自のテクスチャ(質感)表現

  • 金属の光沢: 複雑な反射光や映り込みを表現し、金属特有の冷たさ、硬さ、錆びた質感を出す。
  • 肌や布の繊細な表現: 血管や皮膚の透明感、布のシワや繊維感など、人間味のある繊細な質感を再現する。
  • 背景美術の奥行き: 背景の岩肌、木々の葉、水面の反射などに厚塗りを施すことで、写真のようなリアルな空気の層(奥行き)を表現できます。

3. 圧倒的な情報量と重厚な雰囲気

一枚の絵に込められる情報量が格段に増えるため、作品全体のクオリティ重厚感が向上します。これにより、視聴者は作品の世界観に深く没入しやすくなります。

アニメ制作における厚塗りの技術と事例

厚塗りは作画コストが非常に高いため、主に以下のシーンや作品で戦略的に活用されます。

1. 背景美術(マットペイント)としての活用

劇場アニメでは、背景美術のほとんどに厚塗りの技法が使われています。これは「マットペイント」と呼ばれ、現実の風景や想像上の巨大な都市などを実写並みの質感で描き出すために必須の技術です。

2. キャラクターデザインへの導入事例

近年は、キャラクターにも厚塗りの要素を取り入れた作品が増えています。

作品例特徴的な使い方
『鬼滅の刃』汎用的なTVアニメ塗りの中に、エフェクトや重要なカットで水の呼吸や炎のCGに厚塗りの質感を融合させ、迫力を増している。
『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』キャラクターの瞳や髪の毛に細かく光のレイヤーを重ね、透明感と立体感を強調し、幻想的な雰囲気を醸し出している。

3. 厚塗りの制作上のメリット・デメリット

項目メリットデメリット
クオリティ圧倒的な質感と立体感。作品の美術性が向上する。
制作コスト非常に高い。 一枚にかかる時間が長く、アニメーターのスキルも要求される。
汎用性表現の幅が広い。大量の動画枚数が必要なTVアニメ全編には向かない。

【実践の基礎】デジタルでの厚塗りの始め方とコツ

厚塗りはアナログ(油絵など)の技法がルーツですが、現在のアニメ制作やイラスト制作では、PhotoshopやCLIP STUDIO PAINTなどのデジタルツールで行うのが一般的です。

  1. ベースカラー(下地)を置く: 最初に影や光を気にせず、全体の最も明るい色(中間色)で塗りつぶします。
  2. 影色をブラシで乗せる: 「アニメ塗り」のようにバケツで塗るのではなく、ブラシの不透明度を調整しながら影色を乗せていきます。これが「厚塗り」の核心です。
  3. 境目をぼかす(馴染ませる): 筆の跡(テクスチャ)を残しつつ、影と光の境界線をスポイトで色を拾いながらブレンドし、徐々に馴染ませてグラデーションを作ります。
  4. ハイライト(光沢)で質感を出す: 最後に、光が強く当たる部分に細かく色を乗せ、金属や髪の毛の光沢(スペキュラ)を強調することで、質感を際立たせます。

まとめ:厚塗りはアニメの「リアリティ」を追求する技法

アニメの厚塗りは、「生命感や物質的な質感を極限まで追求する技法」にあります。

厚塗りは、制作コストは高いものの、画面に圧倒的な重厚感リアリティをもたらし、作品の世界観を格段に深いものにします。近年のアニメ作品は、この厚塗りの技術を、CG技術と組み合わせて進化させており、今後もその表現の幅は広がり続けるでしょう。

あなたが次にアニメを観るときは、キャラクターの肌や背景の岩肌に「厚塗り」が使われているかどうか、ぜひ注目してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次