アニメ制作の現場では、「lo(レイアウト)」という専門用語が頻繁に使われます。
アニメファンの中には、スタッフクレジットで「LO」や「レイアウト監修」といった表記を見かけて、
「これは何のこと?」と気になった人も多いのではないでしょうか。
この記事では、アニメ制作における「lo(レイアウト)」の意味と役割、原画との違いを初心者にもわかりやすく解説します。
さらに、レイアウトが作品のクオリティを左右する重要な工程である理由についても紹介します。
アニメの「lo(レイアウト)」とは?
「lo(レイアウト)」とは、アニメのカメラアングル・キャラクターの位置・背景構図などを設計する図面のことです。
1カットごとに作成され、“シーンの設計図”と呼ばれるほど重要な工程です。
● レイアウトの内容には以下が含まれます
- キャラクターのポーズや位置
- 背景(空間構成やパース)
- カメラの動き(ズーム・パンなど)
- 表情・アクションの方向性
このレイアウトをもとに、次の工程である原画が描かれます。
つまり「アニメのレイアウト=1カットの完成形を決める設計書」と考えるとわかりやすいです。
アニメ制作におけるレイアウトの役割
アニメ制作の流れの中で、「lo」は絵コンテと原画をつなぐ中間工程です。
- 絵コンテ:物語全体の演出やカメラ割りを描いた設計図
- レイアウト(lo):絵コンテを具体的な構図・アングルに落とし込む
- 原画:レイアウトをもとにキャラクターの動きを描く
● レイアウトが担う主な役割
- コンテをもとに「画面構成」を確定する
- 背景とキャラのバランスを取る
- 光源・影・視線誘導などの“絵の情報整理”を行う
アニメーターはレイアウト段階で、映像としての完成イメージを固めていきます。
レイアウト(lo)と原画の違い
アニメ初心者が混同しやすいのが「レイアウト」と「原画」の違いです。
以下の表にまとめると理解しやすくなります。
| 項目 | レイアウト(lo) | 原画 |
|---|---|---|
| 担当工程 | 絵コンテの次 | レイアウトの次 |
| 内容 | 構図・ポーズ・アングルを決定 | 実際の動きを描く |
| 主な目的 | カットの見せ方を決める | 動きを完成させる |
| 制作者 | 作画監督・レイアウト担当 | 原画マン |
つまり、レイアウトが“静止画としての完成形”を設計し、原画が“動き”を付けていくという関係性です。
「レイアウトチェック(LOチェック)」とは?
アニメ制作現場では、完成したレイアウトをレイアウト監修者がチェック(LOチェック)します。
● チェック内容の例
- キャラクターの設定画と整合しているか
- 背景のパース(遠近感)が正しいか
- カメラワークが自然か
- 画面の情報量が多すぎないか
このチェックで修正が入ることも多く、
演出面・作画面の両方で品質を担保する最終工程といえます。
「lo」が優れているとアニメが映える理由
良いレイアウトは、作品の印象そのものを変えます。
キャラの立ち姿、カメラ位置、光の差し込み――すべてが「画面の説得力」を決めるからです。
たとえば:
- 新海誠作品は「構図の美しさ(レイアウトの緻密さ)」が映像美を支えている
- 庵野秀明監督(『エヴァンゲリオン』)はレイアウト段階で“心理的演出”を重視している
このように、loは作画以上に“監督の演出意図を伝える設計”とも言えます。
有名アニメで見る「レイアウト」の実例
● 『進撃の巨人』
立体機動のスピード感を支えているのは、複雑な都市構造のレイアウト。
背景とキャラの動線を正確に設計しているため、3Dのような臨場感が生まれます。
● 『君の名は。』
光の差し込み方やカメラアングルが緻密に計算されており、
1枚絵としての完成度が非常に高い。レイアウト段階で“映画的な構図”が決まっています。
● 『呪術廻戦』
戦闘シーンでは、キャラの距離感・重心・動線の位置関係を正確に設計。
レイアウトの巧みさがそのまま迫力あるアクション作画につながっています。
まとめ:アニメの「lo」は映像の設計図
アニメ制作における「lo(レイアウト)」は、作品の見せ方を決定する最重要工程です。
- 絵コンテを具体化する“設計図”
- 原画の基礎となる“構図の決定稿”
- 監督や作画監督の意図を伝える“映像の言語”
つまり、loがしっかりしていないと、
どんなに優れた作画でも“見栄えのする映像”にはなりません。
アニメづくりの裏側を知ることで、作品をより深く楽しめるようになるでしょう。



