「このアニメの主題歌、作品にぴったりすぎる!」
「なんでこのアーティストが選ばれたんだろう?」
アニメを見ていて、そんな風に感じたことはありませんか?
主題歌は、作品の“顔”ともいえる大切な要素。
しかし、その選び方や決定までの流れは、意外と知られていません。
実は主題歌は、アニメ制作会社・音楽レーベル・制作委員会など複数の関係者によって、戦略的に決められているのです。
この記事では、
- 主題歌がどうやって決まるのか
- 誰が最終的に決定しているのか
- アーティストやタイアップの選ばれ方
- 作品とのマッチングの考え方
を、初心者にもわかりやすく解説します。
アニメの主題歌はどうやって決まる?【基本の流れ】
アニメの主題歌は、一般的に制作委員会や音楽プロデューサーの会議によって決定されます。
ここでは、その流れを時系列で見ていきましょう。
① 作品の企画段階で方向性を決める
アニメ制作がスタートする段階で、作品のテーマ・世界観・ターゲット層をもとに、
「どんな音楽が合うか」を話し合います。
たとえば:
- 学園青春もの → 明るくポップなロック調
- バトル系 → 重厚でテンションを上げるサウンド
- 恋愛・日常系 → 柔らかく透明感のあるボーカル
この時点では、まだアーティスト名は決まっていません。
“音楽の方向性”をざっくり決める段階です。
② 音楽制作会社・レーベルが候補を提案
方向性が決まると、音楽制作会社やレーベルがアーティストを提案します。
このとき重視されるのは次の3点です。
| 選定基準 | 内容 |
|---|---|
| ① 作品との親和性 | 声・歌詞・世界観が作品とマッチしているか |
| ② 話題性・集客力 | 人気アーティストか、SNSで話題になるか |
| ③ タイアップ戦略 | レーベル側のプロモーションと連動できるか |
つまり、アニメ主題歌は“感性だけ”で決まるわけではなく、ビジネス戦略とマーケティング要素も大きく関わります。
③ 制作委員会で最終決定
複数の候補曲が挙がると、最終的には制作委員会(アニメの出資者グループ)が決定します。
制作委員会は通常、
- アニメ制作会社
- 音楽会社(レコード会社)
- 放送局
- 出版社(原作権者)
などが構成メンバーです。
それぞれの立場で「宣伝効果」「世界観」「スケジュール」を踏まえ、最も効果的な主題歌を選びます。
主題歌がアニメの内容に合わせて作られる場合もある
すべてのアニメが「既存曲タイアップ」ではありません。
特に近年は、オリジナル書き下ろし曲の需要が増えています。
書き下ろしの流れ
- シナリオ・絵コンテをアーティストに共有
- 登場人物の感情や物語のテーマをヒアリング
- 歌詞やメロディを“作品専用”に制作
この場合、アーティストが作品世界に深く入り込んで曲を書くため、より強い一体感が生まれます。
たとえば:
- 『鬼滅の刃』LiSA「紅蓮華」:主人公の覚悟と成長を表現
- 『進撃の巨人』Linked Horizon:物語構成を歌詞に反映
こうした例では、「この曲=この作品」として長く記憶に残る名主題歌となっています。
主題歌とアーティストのタイアップ関係
アニメ業界では、アーティストと作品の“相互プロモーション”として主題歌が活用されます。
双方にメリットがある仕組み
| 立場 | メリット |
|---|---|
| アニメ側 | 人気アーティストの集客力で話題性UP |
| アーティスト側 | 放送・配信を通じて新たなファン層を獲得 |
たとえば、Aimer・LiSA・Official髭男dism・YOASOBIなどは、アニメ主題歌で一気に知名度を上げました。
一方で、アニメ側も「音楽がSNSで拡散される→作品認知が広がる」という好循環を得ています。
主題歌は誰が歌うか“最初から決まっている”こともある
実は、原作や企画段階からアーティストが決まっているケースもあります。
代表例として:
- 『ソードアート・オンライン』シリーズ(LiSA)
- 『銀魂』(SPYAIR)
- 『名探偵コナン』(倉木麻衣)
これらは“シリーズ専属アーティスト”として制作サイドが信頼関係を築いており、
作品ごとのテーマや展開に合わせて曲作りをしています。
一方で、完全新作アニメでは「タイアップをどう活用するか」が選定のポイントになります。
OP・EDの違い|主題歌の役割分担
アニメには主にオープニングテーマ(OP)とエンディングテーマ(ED)があります。
どちらも主題歌として扱われますが、目的が異なります。
| 種類 | 主な目的 | 曲の傾向 |
|---|---|---|
| OP | 視聴者のテンションを上げ、作品の導入を演出 | 明るく、勢いのあるサウンド |
| ED | 物語を締め、余韻を残す | 落ち着いた・感情的なバラード系 |
制作段階では、「OP=アクティブ」「ED=リフレクティブ(振り返り)」の対比が意識されており、
1クールごとに変更されることもあります。
主題歌が変わるタイミングとその理由
「途中から主題歌が変わるのはなぜ?」と思ったことはありませんか?
その理由は以下の通りです。
- 物語の展開に合わせるため(例:2期・後半クールの転換点)
- プロモーション目的(新アーティストの起用)
- 作品のイメージリフレッシュ(視聴者の飽きを防ぐ)
特に2クール以上放送される作品では、OP・EDを変えることで“次章のテーマ性”を明確にする狙いがあります。
まとめ:主題歌は「作品と音楽の共同演出」
アニメの主題歌は、単なる“曲”ではなく、作品と音楽の共同演出です。
選定の流れをまとめると:
- 作品の方向性を決定
- 音楽会社・レーベルが候補を提案
- 制作委員会が最終決定
- 書き下ろし・タイアップ・既存曲のいずれかで制作
このように、主題歌は感性+戦略+制作現場の協力で生まれます。
次にアニメを見るときは、ぜひエンディングのクレジットにも注目してみてください。
あなたの好きな曲が“どうやって選ばれたのか”の背景が、少し見えてくるはずです。



